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Economical use of energy

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LED補助金のメリット・デメリットを解説!

電気代が高騰し続けています。
2023年4月から、さらに値上げの地域もありますね。
省エネ対策を検討するよう、会社から言われている方も多いのではないでしょうか。

まだ蛍光灯や水銀灯が残っているなら、LEDは比較的手をつけやすい省エネになります。
それを会社に上申すると、「補助金を使えないのか」という議論がきっと出てくるはずです。

その議論に巻き込まれる前に、ぜひこの記事をお読みください。

弊社スタンスは、「わざわざ補助金を検討する必要はない」です。
補助金の型番登録をしている会社が言うのは矛盾ではないか! と思われるかもしれません。
以下にお伝えする補助金のメリット・デメリットをお読み頂ければ、デメリットがメリットを帳消しにするかもしれない可能性を感じ取って頂けると思います。

弊社が型番登録している理由はこちら

以下のお好きなところから読めます

LED補助金のメリット・デメリット(独自取材あり)

ちょうど、2022年度のLED補助金の追加募集(令和4年度補正予算 省エネルギー投資促進支援事業)が公募されています。
この補助金を例に考えていきたいと思います。
ぜひご参考ください。

本補助金の概要 ※詳細はこちら
補助額:器具代の1/3、最低補助額30万円
補助対象器具:人感センサーなどの「制御機能付きLED照明器具」/既存施設の交換のみ
補助対象者:国内において事業活動を営んでいる法人及び個人事業主、かつ直近の決算が赤字でないもの

 

メリット

1/3の補助額 ←前回より増

 前回の募集時は、定額2500円/台 でした。単価の高い大型LEDなら、補助額が大きくなります。以下例をご覧ください。

(例)1台30,000円のセンサー付き高天井LEDを30台導入時の補助額
前回募集→2,500円×30台= 75,000円 …最低補助額20万円に満たない。補助対象外
自社負担額:30,000円×30台 = 900,000円
今回募集→30,000円×1/3×30台=300,000円 補助対象
自社負担額:30,000円×30台 – 補助300,000円= 実質600,000円

最低補助額が30万円と少額

上記例のような、小規模な交換工事でも補助が受けられる可能性があります。
2018年までの「エネ合」は最低補助額が100万円でした。
上記例のLEDの場合、100台以上の交換工事でないと、補助対象となりません。
小規模な事業者が使いやすいように最低補助額が引き下げられたのではないかと思います(※)

(※)「令和4年度 先進的省エネルギー投資促進支援事業 成果報告」を、以下リンク(SIIサイト)よりダウンロードしてご覧ください。15ページから、「センサー付きLED」が「ボイラー」や「空調」よりも省エネ率が高いこと、22ページから小規模事業者の省エネ率が、大規模事業者より高いことが読み取れます。
https://sii.or.jp/cutback04/results_report.html

デメリット

①申請の手間

用意・提出する書類は以下のとおりです(必須のみピックアップ)。ポータルより出力し、記入・印刷。ファイリングして郵送で提出します。

交付申請書(かがみ)
交付申請書(2枚目)
補助事業に要する経費、補助対象経費及び補助金の配分額
補助事業に要する経費の四半期別発生予定額
役員名簿
事業者情報
資金調達計画
事業実施に関連する事項
省エネルギー計算総括表
見積金額一覧表
見積書(3者分)
発注区分表(c)
導入設備一覧
会社情報(法人概要申告書)
決算書(直近1年分の単独決算の貸借対照表を添付)
商業登記簿謄本
補助対象設備を導入する建物の登記簿謄本

なかなかのボリューム、という印象です。公募要項も全92ページあります。初めて申請される方は、まずは読み込みに時間がかかりそうですね。

②申請から採択~発注までの間の「電力消費」←ここがポイント

以下が、公募開始から事業完了までのおおまかなスケジュールです

公募 3月下旬~4月下旬
採択・交付決決定 6月上旬
発注~着工 採択以降
事業完了 1月末

6月上旬の交付決定後に発注となるので、実際に工事完了できるのは、早くて7月、のんびりしていると事業完了直前の12月になります。

この間にも照明は電力を消費していきます。

2020年に「補助金を使わない方がいい場合もある」と書かせていただきました。これは、補助金の申請~設置までの時間に消費する電力がもったいないから、すぐにLED化した方が良い場合もある、という記事です。
弊社のこのスタンスは変わっていないです。
上記記事を書いた2020年と比べて、電気代が大幅にUPしている現在は特にそう思います。

以下に、補助金申請から工事完了までの期間を明らかにし(A)、すぐにLED化することでこの期間に削減できる電気代(B)と、補助額を比較します(C)。

A) 補助金申請~工事完了:一般的に6ヶ月程度

■スケジュール例
3月下旬公募開始~4月下旬までに申請、6月採択後、発注。8月着工、9月工事完了
5月下旬公募開始~6月下旬までに申請、8月採択後、発注。10月着工、11月工事完了

 

B) すぐにLED化した場合、(A)の期間に削減できる電気代(1台あたり)

◇LED化による削減額 × 6ヶ月

蛍光灯 水銀灯
工事前 電力料金(月間) ¥448 ¥2,800
工事後 電力料金(月間) ¥106 ¥262
削減額(月間) ¥342 ¥2,538
削減額×6ヶ月 ¥2,053 ¥15,228

計算前提

◇蛍光灯の場合
定格消費電力 64W
センサー付きLED消費電力 42W
点灯率 20%
稼働時間/1日 10h
稼働日数/年 300日
電力料金単価 28円
◇水銀灯の場合
定格消費電力 64W
センサー付きLED消費電力 42W
点灯率 20%
稼働時間、稼働日数、電力料金単価は蛍光灯の場合と同じ

 

C) 上記(B)と補助額の比較(1台あたり)

◇LED化による削減額/補助額の比較

削減額×6ヶ月 LED価格例 補助額 削減額との差
蛍光灯 ¥2,053 ¥15,000 ¥5,000  ¥     2,947
水銀灯 ¥15,228 ¥45,000 ¥15,000  ¥      -228

(C)より、蛍光灯の場合は補助金メリットあり(¥2,947)、水銀灯の場合は補助金メリットなし(▲¥228)と分かりました。
水銀灯の場合は、補助金を検討するより、すぐにLED化したほうが得であると結論付けたいと思います。
蛍光灯の場合は、メリットはあるものの実質1台あたり3000円程度です。
3000円に交換台数を乗じた金額が補助総額になり、この総額をどうみるか、ということになると思います。
申請の手間(本記事「デメリット」の①)、後述の設置後の手間(同③)、処分の制限(同④)を比較して、補助金を受けるかどうか決めて頂ければと思います。

 

③設置後の手間が申請段階で未知数 ←独自取材あり

 

設置後に、「実績報告書」にて事業の報告を行う必要があります。
この報告内容は、事前に開示されていません公募説明動画では、採択時にメールで送付される「事務取扱説明書」に内容が記載されていると説明がありますが、詳細は公募資料にありません。

(以下独自取材)
「事務取扱説明書」の内容をSIIに問い合わせしました。

・採択者にしか内容を公開しないとのこと。理由は毎年内容が変わるため。
・実施済みの補助事業なら教えてもらえるのでは?と、2022年度本予算の事務局に問い合わせを入れてみました。→結果同じで教えてもらえず
・どんな報告をしたらよいか分からないと、全体の事務ボリュームがわからないのでは? 概要だけでも教えて欲しいと食い下がりましたが、「国に事業なので・・・」とのこと。なぜ開示できないのかも不明なままです。
・弊社のような照明メーカーでなく、実際の申請者なら教えてもらえるのか? ←いいえとの返答

設置後の手間に関しては、残念ながらそのボリューム感を事前に知っておくことができないようです。

参考まで、旧「エネ合」の報告内容を取引先に聞きました。
令和3年度からの新しい枠組みにおいても同じかどうか分かりませんが、ご参考になるかと思います。

・図面上に交換対象の照明をプロットし、ナンバリングする。
・ナンバリングしたすべての照明において、着工前、工事完了後の写真を撮影する
・写真にナンバーをつけ、報告書類に貼り付け、図面と照合させる。
・照明数や写真数など、数が合わないと「確定検査」時に指摘され、やり直し。
・その他、電力量の実績報告あり←本補助金でも、設置後最低1週間の計測が必要です。

 

④補助金を受けた照明は処分の制限を受ける ←独自取材あり

 

国の補助金を受けた照明は、定められた書式「取得財産等管理台帳」で管理する必要があります
また定められた期間、処分や移転ができません
具体的には、減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)に定められた期間で、照明は15年になります。
その期間前に、照明が壊れた場合や、移転する場合はどうすれば良いのかSIIに問い合わせました。

・「その場合は、都度SIIにご相談ください」とのこと。
・実際に、メーカー保証期間を過ぎて不点灯となり、SIIへ相談されるケースもあったとのこと。
・しかしながら、その際の判断はケースバイケースで、一概に処分制限が外れるとは言えないそうです。
・制限が外れなかった場合、不点灯のLEDはそのまま放置しておくしかないのか? という疑問が残ります。

 

まとめ

LED補助金のメリット・デメリットを知って頂き、いかがでしょうか?
単純比較はできませんが、手間や時間ロスのデメリットが大きく、金銭的メリットが埋没してしまうように思います。
国としては、小規模事業者に使ってもらいたい補助金なのかもしれませんが、用意すべき申請書類の数は大規模事業も小規模事業も同じです。しかしながら小規模事業者には、それを用意する人的余裕がない現実も・・・

補助金を考慮しない。すぐにLED化する。と決めてしまった方が、手間もかからず、確実に電気料金対策になる可能性が高いです。

それでも会社から「補助金を検討しなさい」と言われたら、上記デメリット②の計算を行ってみてください。そして、④の制限を受けることも知っておいて頂きたいです。

 

弊社はセンサー付きLED照明で、これからも皆様に「もっとセンサー、もっと省エネ」を迅速にご提案して参ります。
照明配置や照度計算など、ご遠慮なくお申し付けください

Lumiqs製品を見る

(追記) 弊社が型番登録している理由

本当は補助金に関係なく、純粋にセンサー付きLEDの省エネ効果を訴え、皆様の省エネに役立ちたいのです。しかしながら、LED化に関してWEBで情報を探す場合、「LED 補助金」のキーワードで検索する方がとても多いのが現実です・・・検索してくださった方の気づきになれば嬉しいです。