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京都市が加盟した脱炭素連盟って何?

2021年3月3日、京都市が「脱炭素連盟」に日本初の参加をしたそうです。

「脱炭素連盟」って何?

省エネを推進する弊社としては、ぜひ知っておきたい! と思い、調べました。
京都市は、弊社(滋賀県栗東市)のご近所ですし^^

ご興味頂けましたら、ぜひ以下をお読み下さい。
(お好きなところから読めます)


 

脱炭素連盟は、石炭火力発電からの脱却を目指す国際的な連盟

脱炭素連盟は、2017年のCOP23(気候変動枠組条約第23回締約国会議)で、英国とカナダの主導で発足した国際的な連盟です。
連盟の目指すところは、以下4つです。

  • CO2回収装置のない旧式の石炭火力発電所の段階的閉鎖の約束を、参加政府や加盟組織より取り付ける
  • 旧式の石炭火力発電所の新設停止を、参加政府や加盟組織より取り付ける
  • 政策や投資を通じて、クリーン電力の振興と従来型石炭火力発電の制限に取り組む
  • 石炭からの段階的脱却を約束する組織の増加と、加盟組織による義務の履行を支援する

現在、ドイツやイギリス、アメリカのカリフォルニア州など、113の国や自治体などが加盟していて、京都市は日本の自治体として初めて参加しました。

我が国は、国としては未加盟です。
その理由は?

石炭火力発電への依存が高いから。

これには世界からも批判を受けていて、2019年のCOP25でも「化石賞」をもらい揶揄されてしまいました。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53249590S9A211C1CR0000/

 

石炭火力発電は何が悪いの?

石炭火力発電は、世界の電力発電量の40%を占めているそうです。

出典:オークリッジ国立研究所/全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(http://www.jccca.org/)より引用

そして、発電方法によるCO2排出の違いは明らかです。

1kWhあたりのライフサイクルCO2排出量は、
石炭火力発電が、太陽光発電の25倍!
LNG(液化天然ガス)火力発電と比較しても1.6倍になります。

出典:電気事業連合会HP
https://www.fepc.or.jp/nuclear/state/riyuu/co2/index.htm

日本におけるCO2排出量は、電気事業が42%、産業部門が25%、運輸部門が17%、家庭部門は5%です。
そして電気事業の内、25%が石炭火力発電。
そうすると、日本のCO2排出の10.5%は石炭火力発電ということとなりますね。

全CO2排出の10%程度というと、わずかな感じがしてしまいますが、家庭部門の2倍!
国内の石炭火力は140基ほどだそうで、その140基が全国の家庭の2倍のCO2を出しているのですね。

国内の石炭火力140基の内、114基が「脱炭素連盟」で段階的閉鎖を求めている「旧式」だそうです。
この旧式をフェードアウトさせる議論が、2020年7月より、経済産業省の石炭火力検討ワーキンググループで始まりました。

私たち産業部門が排出しているCO2量は全体で25%になりますが、それは全産業の合計です。
1社1社の排出量と石炭火力発電1基の排出量を考えると、そこには大きな差があります。

少しでも早く旧式のフェードアウトが望まれますね。
だって私たちの省エネの努力が、吹き飛んでしまうくらいのCO2規模ですから。

また、海外における石炭火力発電所の新設について、国内メガバンク3行が2020年に入り相次いで投融資を停止することを発表しています。
こちらもCO2削減の観点では、当然といえば当然かもしれませんね。

出典

https://www.fepc.or.jp/theme/energymix/content3.html
https://www.enecho.meti.go.jp/about/pamphlet/energy2020/001/#section2

 

どうして京都市が「脱炭素連盟」に参加したの?

京都市は、1997年に京都議定書が策定されたことをきっかけに環境政策に力を入れていて、「2050年までに二酸化炭素の排出量を正味ゼロ」とすることを目標に掲げています。その実現のため、「脱炭素連盟」に参加したとしています。

CO2排出ゼロをどうやって実現するのか?

京都市は2030年度までに省エネと再エネを着実に実行し、
2050年の排出ゼロを目指して、イノベーションの促進などに着手するとしています。

  • 建築物,人・モノの移動の省エネ化
  • 再生可能エネルギーの飛躍的な普及拡大(創る・選ぶ)
  • 持続可能なライフスタイルへの転換
  • イノベーション,担い手の育成

さて、なぜ京都市は数ある国際的な環境の枠組みの中で、「脱炭素連盟」を選択して参加したのかは明らかにしていません。

「脱炭素連盟」は、石炭火力発電をやめてクリーンエネルギーへの転換を図っていますが、CO2回収装置のついた新型石炭火力発電所や、液化天然ガスLNGによる火力発電は否定していません。

日本における石炭火力発電所の一覧をご覧ください。

京都市内には石炭火力発電所がありませんね。
京都府内には舞鶴にありますが、こちらは「脱炭素連盟」が廃止を求めている旧型(一覧のSUB-CおよびSC)ではありません。
推測に過ぎませんが、京都市としては脱炭素連盟参加にあたっては、強い利害関係はなかったのかもしれませんね。

 

京都市以外の国内の取り組みは?

京都以外でも、2050年ゼロカーボンシティを表明している市町村がたくさんあることをご存知ですか?
2050年ゼロカーボンシティは、CO2実質排出量ゼロを表明する都道府県や市町村です。
実質排出量ゼロとは、人為的な発生による排出量と、森林等の吸収源による除去量で均衡させることで達成されます。

こちらが表明都市の一覧です。

あなたの街はゼロカーボンシティの表明をしていますか?
 

おまけ:そもそも石炭って何からできているの? どうしてCO2がでるの?

化石燃料は、大昔に地球上に生きていた動植物が死んで、地中深く閉じ込められ、長い時間地球の圧力がかかってできた物であり、炭素分が凝縮されています。
それを掘り出して燃やせば、エネルギー源としては大変効率がよいのですが、 太古の昔から蓄積されていた二酸化炭素が大量に大気中に放出されることとなり、大気中の二酸化炭素の量が急激に増えることとなりました。
出典:全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(http://www.jccca.org/

なるほどー。わかりやすいです。

近年実証実験されている、「CCS (Carbon dioxide Capture and Storage)」は、
もともと地中にあった炭素が人類によって二酸化炭素化 → それを集めて地中に埋め戻そうということなのですね。